日本でも中絶薬の治験が最終段階まで進み、追加試験を残すのみであることが、2021年3月の国会答弁で明らかになりました。
中絶薬は、妊娠が分かった初期の段階から使用できる薬で、妊娠の終了または流産の完遂を促す効果があります。注:性交後に妊娠を回避する目的で使う緊急避妊薬(アフターピル)と中絶薬(流産処置薬)は別の薬です。
私たちは、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点から、日本で「安全な中絶」を実現するために、次の3つが不可欠であると考え、ここに声明を発表します。
1.中絶薬(流産処置薬)の承認が、日本でも、安全な中絶のために必要です。
WHO(世界保健機関)は、薬または吸引による中絶を「安全な中絶」と推奨しています。
中絶薬は、2005年からWHOの必須医薬品リストに入り、世界77ヵ国で使われています。流産の後処置を安全に行うためにも、中絶薬は有用な薬とされています。
日本の初期中絶では、掻爬(そうは)法と呼ばれる方法が8割*を占めています。この方法は、WHOの勧告で、いまだに行われているところがあれば薬または吸引による安全な中絶に切替えるべきであると、2012年から強く指摘されています。 *2012年日本産婦人科医会が公表した数字
2.中絶薬を、安価で入手しやすくすることが、個々のヘルスケアにとって必要です。
日本の中絶は自由診療で、とりわけ経済的弱者層には高額です。貧困、暴力、避妊法の少なさなどを背景に、若年者やDV被害者などに大きな負担と犠牲を強いています。
2020年、WHOは、薬による初期中絶は、個人で安全に自己管理できると勧告しました。
国際産婦人科連合(FIGO)も2020年、安全な中絶は女性のヘルスケアの必須要素としています。
3.からだの発達と年齢に応じた相談・支援につながりやすい環境と教育が必要です。
安全な中絶の相談・支援は、避妊・妊娠・出産・養育の支援同様、保障されなければなりません。
誰もがためらわず妊娠や中絶の相談ができ、支援につながりやすい制度を作る必要があります。
すべての人が子どもの頃から体や性について知り、意思表示の力を育む包括的教育も不可欠です。
以上が、中絶薬治験の報に接した私たちの緊急声明です。
Action for Safe Abortion Japan:ASAJ (国際セーフ・アボーション・デーJapanプロジェクト内)
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