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私たちについて

#もっと安全な中絶をアクション(Action for Safe Abortion Japan)は、2020年9月28日の〈国際セーフ・アボーション・デー(安全な中絶の日)〉を機に活動をはじめた〈国際セーフ・アボーション・デーJapanプロジェクト〉から生まれたグループです。日本においても科学的エビデンスと人権に根ざした「より安全な中絶」ケアを実現することをめざし、情報提供などの活動を行っています

中絶について声をあげよう!

わたしたちのポリシー

1.わたしのからだはわたしが決める

2.安全な中絶はわたしの権利

3.中絶をあたりまえのヘルスケアに

(国際セーフ・アボーション・デー2021 わたしたちのポリシー)

【2023年9月28日 国際セーフアボーションデーに向けて 】
わたしたちのアクション

 

わたしたちは、2021年9月28日の国際セーフアボーションデーにおいて「わたしたちのポリシー」として上記3点を挙げました。今年もこれらのポリシーを引き続き掲げます。本年4月、日本でも経口中絶薬が承認されたことは大きな一歩です。しかし、残念ながらまだこれら3点の実現には程遠い状態です。


中絶するかどうかは、妊娠している人が自分で決めることです。中絶を必要とする人が、あたりまえのヘルスケアとして安全で有効な中絶の情報と手段を得ることは権利です。
 

経口中絶薬は、WHOによって安全性と有効性が保証され、誰もが使える価格で提供されるべきとされています。世界的には、コロナ禍をきっかけに、妊娠初期にオンラインで処方してもらった中絶薬を、医師や看護師、薬剤師を含む医療者とのホットラインを確保しながら、自宅で服用する方法が推奨されるようになりました。


本来、中絶薬が導入されるメリットは、産婦人科医だけでなく、看護師や薬剤師など処方できる医療職の幅が広がり、アクセスが大幅に改善されること、経膣エコーなどの不必要な医療介入がなくなること、中絶を求める人が中絶のプロセスを自己管理できプライバシーが守られること、安価になることなどです。


しかし日本では、これらのメリットがどれ一つとして実現されていません。そのため、現に中絶を必要としながら中絶を得られない人々がいます。特に、若い人や経済的に困難な人、DV被害者、外国人など弱い立場に置かれた人々にとって、中絶へのハードルはあまりにも高くなっています。性教育も不十分で避妊の手段も限られる現状を背景に、孤立出産にいたったりゼロ日児を遺棄したりする事件が後を絶ちません。


すべての個人には、自分のからだについて自分で決める権利があり、医療はその決定を支えるものであるべきです。女性が望まない妊娠をしたときに、中絶を選択できないようにするのは性差別です。国の役割は、中絶を求める人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、個人の人権と健康を守ることです。中絶を必要とする人が責められることなく、本人の意思で安全な中絶にアクセスできるようにするために、国は避妊・中絶への健康保険適用など、制度を整える義務があります。
 

日本の中絶ケアのあり方を変えていくには、法律の見直しが不可欠です。中絶を犯罪とする100年以上前の刑法堕胎罪を廃止し、中絶を条件付きで認めた母体保護法(優生保護法の一部改正法)を見直す必要があります。どちらも女性の権利を侵害しています。


日本でも中絶をあたりまえのヘルスケアにしていきましょう。 現状を変えるために声を上げていきましょう。


2023年9月28日 #もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)    
 

 

 

 

【2022年】

わたしたちのアクション

日本では、妊娠した人が中絶について自分で決める権利がありません。なぜ自分のことを自分で決められないのか、なぜ配偶者の同意が必要とされているのか。これは妊娠した人への人権侵害ではないのでしょうか。

日本で現在承認されようとしている経口中絶薬は WHO によって安全性と有効性が保証されています。北米やヨーロッパの国々ではコロナ禍をきっかけに、妊娠初期にオンラインで処方してもらった薬を、医療者とのホットラインを確保しながら自宅で服用して行う中絶にシフトしています。

しかしいまの日本の制度のままでは、経口中絶薬の処方や服用にも配偶者の同意が必要となり、入院が必要になるかもしれません。費用負担も、現在の初期中絶と大きく変わらない見通し(10万円程度)が報じられ、とりわけ若い人やお金のない人にとって、中絶へのハードル(障壁) は高いままです。

誰でも必要な時に中絶できることは人権です。中絶を求めるすべての人が、自分の選んだ場所で、費用の心配をさせられることなく、安全な中絶の提供を受けられるようにしなくてはなりません。医療者と社会の役割は、妊娠した人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、妊娠した人の人権と健康を守ることです。必要とする人が、責められることなく、本人の意思に反して妨げられることなく、中絶にアクセスできる環境を整えねばなりません。

中絶を当たり前のヘルスケアにしましょう。中絶薬の使用に配偶者の同意と医師の監視を必須とするのは、人権侵害です。

 

この日本の状況を変えるには、母体保護法の見直しと、刑法堕胎罪の廃止が必要です。日本の法律を変えなければなりません。

 

 

【解説】 堕胎罪と母体保護法は、なぜ変えなければいけないのでしょうか

明治時代に制定された堕胎

刑法堕胎罪は、女性に参政権がなく、戦争に向けて国が人口拡大を図っていた明治時代(旧刑法 1888 年、現行刑法 1907 年)につくられ、現在に至っています。

この法律では、妊娠した人が個人の意思で中絶を行うこと(自己堕胎)は犯罪とされ、関与した医師(業務上堕胎)も罰せられます。「中絶は原則犯罪、中絶した人には刑罰を課す」、「しかも一方的に女性だけを罰する」という不平等(女性差別的)な側面もあります。

 

国際的には、性と生殖の健康と権利(リプロダクティブ・ヘルスとリプロダクティブ・ライツ)は、 基本的人権とされ、中絶についても「良い悪いで判断しない」「負の烙印を押さない」ことがコンセンサスとなっています。近年、人権規約に女性と少女の中絶の権利が書き込まれ、 2020年以降もニュージーランド、韓国、メキシコなどで堕胎罪が廃止されました。日本は国連の女性差別 撤廃委員会から堕胎罪の廃止を勧告されていながら、法改正の動きに至っていません。

 

日本に堕胎罪があり、中絶を原則犯罪視している限り、妊娠を続けるか、続けないかを妊娠した本人が決める権利は保障されません。「本人の同意があれば中絶できる」という、一見、自己決定権があるような運用は、下記「母体保護法」の中においてであり、その外側では刑法堕胎罪が、産まない選択をした人が、(もし母体保護法の条件を外れて中絶を行えば)いつでも逮捕して刑罰を課す構えでいるということです。

妊娠に伴う自己決定権を罰則付で否定する堕胎罪は廃止するべきです。

 

 

配偶者の同意が必要な母体保護法

 

もう1つ改定が必要なのは、母体保護法の「配偶者同意」要件です。第二次世界大戦後、優生保護法(現・母体保護法)により、人工妊娠中絶は合法化されました。しかし結婚(事実婚含む)している人は、「配偶者(事実婚含む)の同意」が中絶の条件とされました。

配偶者が中絶に「同意する」「同意しない(拒否する)」権利を持つことにより、婚姻中に妊娠した人は全員、原則として自分の意思だけでは中絶できず、配偶者の許可(サイン)が必要となりました。

 

未婚の場合、法律上は相手の同意は不要ですが、現場の医師は堕胎罪に問われたり⺠事トラブルに発展したりすることを怖れ、相手男性が逃げて連絡を絶っているような場合も、相手の同意を求める現状があります。配偶者間の性暴力によって妊娠した場合も、被害者の申告が信用されず、配偶者の同意がなければ中絶を断られるケースも存在します。

本人に必要な医療よりも配偶者・相手の同意を優先することに、妊娠した人の尊厳、人権、主体的医療の提供という視点はありません。法律の拡大解釈により本末転倒な運用が行われている環境です。諸外国で、中絶に配偶者同意が必要な国は 10 カ国余り。国際的には、中絶をするために存在するあらゆる障壁を除去すべきとされています。

日本の配偶者同意要件は、配偶者・相手男性による妊娠継続強制、出産強制など、妊娠した人よりも妊娠させた相手の優越的立場を法的に裏付けるもので、撤廃されるべきです。

 

2022年 9 月 28 日 #もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)作成

【2020年 活動開始時の呼びかけ文】
わたしたちのアクション

  1. より多くの安全で確実な避妊の選択肢を求めます。

  2. WHO が推奨する世界標準の安全な中絶方法の普及を求めます。

  3. 中絶を犯罪とする性差別的な刑法堕胎罪と、その関連法である
    母体保護法の根本的見直しを求めます。

避妊・中絶をめぐす医療も法律も、日本は問題が山積みです!
​一緒に考え変えていきましょう 

世界では女性が安全な避妊・中絶を選べるよう、さまざまな方法が開発され制度が作られていますが、実は日本はそうした動きから取り残されつつあります。

ここでいう「安全」とは、女性のからだへの負担が少ないだけでなく、経済的にも負担が少ないこと、医療施設に気軽にアクセスできることも意味します。

▶ 日本の避妊は?  
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日本は先進国の中で最も避妊実行率が低い国です。失敗率の高いコンドームが多用され、低用量の経口避妊薬(ピル)やIUD(子宮内避妊具)の使用率は低迷しています。海外では皮膚に貼る避妊パッチや定期的な注射による避妊も広く使われていますが、日本にはそうした選択肢はありません。

 

緊急避妊薬(アフターピル)は、性交後72時間以内に服用すれば約8割の妊娠を防げる薬です。日本でも認可されてはいますが薬局で入手できないため、使用のタイミングを逃すことがあります。また価格が1~2万円と高額です(アメリカ:3200~6400円程度、イギリス:通常は保険がきき無料。自費でも1400~2100円程度。海外では性交後120時間以内の服用で効く薬も普及しているが日本では未認可)。

▶ 日本の中絶は?  

日本の中絶法の主流は、WHO(世界保健機関)が「安全な中絶」として推奨している方法ではありません。戦後の人口急増を抑制するために、1948年に医師の認定による中絶が一部合法化されて以来、搔爬(そうは)法という当時の方法(海外のD&Cとは異なり、鉗子を先に用いてからキュレットで子宮内膜を掻き出す)を使いつづけています。WHOは妊娠初期には中絶薬と吸引法を推奨していますが、日本では普及が遅れています。中期中絶でもWHOが推奨している経口中絶薬もD&E(鉗子を用いて子宮内容物をつまみ出してから、吸引機で残りを吸い出す方法)も使われておらず、日本では旧来の「分娩法」です。

経口中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストールの2つの薬を組み合わせる方法)は1980年代末に開発され、現在70以上の国と地域で使われており、正しい情報を得て、非常時に医療にアクセスできる環境であれば、妊娠初期の女性が自宅で服用しても安全に中絶できることが確認されています。新型コロナウイルス感染拡大のなかでロックダウンが実施されたイギリスやフランスでは、中絶薬をオンラインで処方してもらい自宅で服用することが許可されました。一方、日本ではステイホームにより若者の妊娠相談が増加しているとの報道もありますが、経口中絶薬はまだ認可されていません。新型コロナウイルスのような感染症により医療崩壊が起きれば、中絶手術を受けることが難しくなる状況も懸念されます。

(2023年3月更新)

▶ 刑法堕胎罪と優生保護法、母体保護法とは?  

堕胎罪は1880(明治13)年の旧刑法で制定され、1907(明治40)年の現刑法に引き継がれました。分娩に先立って人為的に胎児を母体から分離することを犯罪として処罰するもので、刑法第2編第29章(第212~216条)に明記されています。第212条には「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する」とあります。

1948(昭和23)年に制定された優生保護法によって、医師の認定による中絶が条件付きで合法化され、その条件を満たした場合のみ堕胎罪で処罰されることはなくなりました。しかし、優生保護法は、国が人間の質を選別する「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想に基づく差別的法律です。この法律は強制不妊手術まで認めていたため、国内外から廃止すべきとの声があがっていました。その結果、1996(平成8)年になってようやく優生的な条文が削除され、法律名も母体保護法に変えられました。

 

しかし、堕胎罪はそのまま残されました。また母体保護法にも、中絶には配偶者の同意が必要とされるなど問題がいくつもあります。国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して2009年と2016年の二度にわたり、女性差別撤廃の観点から堕胎罪と母体保護法の見直しを求めましたが、政府はいまだに応じていません。

 国際セーフ・アボーション・デーとは?

9月28日は、安全な中絶(セーフ・アボ-ション)を選ぶ権利が保障されることを求め、世界中の女性たちが統一行動を起こす日です。1990年9月28日、中南米の女性ネットワークが中絶の合法化をめざして活動を開始したのをきっかけに、2011年からこの日を「国際セーフ・アボーション・デー」として、世界各地で女性たちによるさまざまな活動が行われるようになりました。
日本でも2019年から、いくつかのグループがこの日を記念して行動を開始しています。

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